枕・寝具

[#20]枕なしで寝るのはアリ?整体師が話す「合う人・合わない人」と確かめ方

枕を片手に持ち、枕なし睡眠について問いかけるけんぞう先生のイラスト

文=けんぞう(美容整体師・小顔矯正士/施術歴13年・延べ2万7千人以上)

「枕なしで寝る方が、身体にいいらしいよ」

SNSや動画で、ときどき見かけるこの説。「ストレートネックには枕なしがいい」と言われることもあれば、「絶対にやめた方がいい」と言われることもあり、調べるほど分からなくなった…という方も多いのではないでしょうか。

こんにちは、整体師のけんぞうです。今日はこの「枕なし睡眠」について、美容・健康業界歴18年、施術歴13年・延べ2万7千人以上の身体と向き合ってきた立場から、白黒はっきりつけない正直なところをお話しします。結論を先に言うと、「合う人はいる。でも少数派。そして自分がどちらかは確かめられる」です。

「枕なしがいい」って本当ですか?

みなみ
みなみけんぞう先生、この前SNSで「枕なしで寝たら調子がいい」っていう投稿を見たんです。枕って、実はない方がいいんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生出ましたね、枕なし説(笑)。結論から言うと、枕なしが合う人は実際にいます。でも少数派です。大半の人には、枕はあった方がいい。
みなみ
みなみ少数派…。じゃあ、その合う人と合わない人って、何が違うんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生それを説明するには、まず「枕って何のためにあるのか」から話す必要があります。実はここが誤解されがちなんですよ。枕は「頭を乗せるクッション」だと思われていますが、本当の役割は首のすき間を埋めて、立っている時の自然な姿勢を寝た状態でも保つことなんです。
みなみ
みなみ首のすき間、ですか。
けんぞう先生
けんぞう先生はい。人間の首の骨は、まっすぐではなくて前側にゆるくカーブしています。仰向けに寝ると、後頭部と背中はマットレスに付きますが、首の後ろには自然とすき間ができる。このすき間を支えずに放っておくと、首まわりの筋肉が一晩中「宙ぶらりんの首」を支え続けることになるんです。
みなみ
みなみ筋肉が夜勤してる状態…。
けんぞう先生
けんぞう先生うまい(笑)。まさにそうです。睡眠は本来、日中の疲れをリセットする時間なのに、首の筋肉だけ残業していたら、朝スッキリしないのは当然ですよね。

枕なしが「合う人」の条件

みなみ
みなみでも、合う人もいるんですよね? どんな人なんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生ポイントは2つあります。1つ目は背中の丸みが少なくて、後頭部の形が絶壁に近い人。背中が丸い人ほど、仰向けになった時に頭の位置が持ち上がって、首のすき間が大きくなります。逆に背中と後頭部の形がフラットに近い人はすき間が小さいので、低い枕や枕なしでも首が支えられることがある。
みなみ
みなみなるほど。2つ目は?
けんぞう先生
けんぞう先生マットレスが柔らかめで、体が適度に沈む人。体が沈む分、首のすき間が相対的に小さくなるからです。つまり「枕なしがアリかどうか」は、その人の背中の形とマットレスの組み合わせで決まるんです。枕単体では決まらない。

ここで大事なことをひとつ。枕の高さは、必ず自宅のマットレスの上で確かめてください。整体院の施術ベッドのような硬い台の上では身体の沈み方がまるで違うため、そこで「枕がなくても平気」と感じても、自宅のマットレスでは条件が変わります。

みなみ
みなみだから「枕なしがいい」って言う人と「やめた方がいい」って言う人がいるんですね。人によって条件が違うから。
けんぞう先生
けんぞう先生その通り。ちなみに小さな子どもは背中の丸みが少なくて頭が大きいので、そもそも枕がほぼ要りません。「子どもは枕なしで寝てるんだから大人も」という理屈をたまに見ますが、大人と子どもでは骨格の条件がまるで違うので、あれは当てはまりません。
なお、赤ちゃんや新生児のタオル枕・枕なし睡眠については、窒息などのリスクがあるため当サイトでは扱いません。乳幼児の睡眠環境は、かかりつけの小児科や自治体の保健師にご相談ください。

枕なしが「合わない人」に起きること

みなみ
みなみ逆に、合わない人が枕なしで寝続けると、どうなるんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生首のすき間が支えられなくなるんですが、実は起きることが後頭部の形によって分かれます。後頭部の丸みがきれいな人は、丸みの分だけ頭が高くなるので、顎が引けて首がマットレス側に落ちていく。逆に後頭部の丸みが少ない人は、頭がのけぞって顎が上がった状態になりやすい。方向は逆ですが、どちらも首が不自然な角度で一晩固定されることに変わりはありません。首まわりの筋肉が緊張し続けるので、朝起きた時の首や肩の重さ・違和感につながりやすい状態になります。

「枕なしが楽」の正体 — 枕が高すぎたサイン

みなみ
みなみうーん、うちの母が「枕なしの方が楽」って言ってたんですけど、あれはどういうことなんだろう…。
けんぞう先生
けんぞう先生実はそのパターン、施術の現場でもよく聞きます。多くの場合、「枕なしが合っている」のではなくて「今までの枕が高すぎた」んです。高すぎる枕から枕なしに変えると、確かに一時的に楽に感じる。でもそれは「高すぎ」から「低すぎ」に振れただけで、ちょうどいい高さを飛び越えてしまっている可能性があるんですよ。
みなみ
みなみ極端から極端に行っちゃってるんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生そうです。「枕なしが楽」と感じたなら、それは身体からの大事なサインです。ただしそのサインの意味は「枕は要らない」ではなくて、「今の枕、高すぎませんか?」の方が近い。
みなみ
みなみじゃあ、そういう人はどうすればいいんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生枕をなくすのではなく、タオルで低い高さから探り直すんです。高すぎたところからゼロに飛ぶのではなく、その中間にある「ちょうどいい高さ」を見つける。タオル枕はそのための道具としていちばん向いています。

枕なしのリスクと弊害

「枕なしで寝るとどうなるか」を検索すると、さまざまな声が出てきます。ここでは、合わない人が枕なしで寝続けた場合に起きやすいことを整理しておきます。

首の筋肉が休まらない

先ほどお話しした通り、首のすき間が支えられないと、筋肉が一晩中首を支え続けます。s1で出た「筋肉の夜勤」状態です。朝起きたときの首や肩の重さ、だるさにつながりやすくなります。

頭が下がることで起きやすいこと

枕なしで仰向けになると、多くの場合、頭の位置がマットレスの面とほぼ同じか、それ以下になります。頭が心臓より低い位置に長時間あると、頭に血がのぼるような感覚や、朝の顔のむくみ、気持ち悪さを感じる方がいます。

「低すぎる枕」と同じ状態

枕なしは、言い換えれば「高さゼロの枕」です。高すぎる枕にリスクがあるように、低すぎる枕にもリスクがあります。あごが上がって首の後ろ側に負荷が集中したり、気道が圧迫されやすくなったりする場合があります。

けんぞう先生
けんぞう先生これらは全員に必ず起きるわけではありません。ただ、合わない人が枕なしを続けると起きやすくなる、という傾向です。身体からの違和感を無視せず、試してみて辛ければやめる、という姿勢が大切です。

「ストレートネックには枕なしがいい」は本当か?

みなみ
みなみ先生、ネットで「ストレートネックの人は枕なしで寝た方がいい」って書いてあるのも見たんですけど、あれはどうなんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生その理屈はこうです。「ストレートネックは首のカーブが失われた状態 → だから枕なしで頭を後ろに倒して、カーブを取り戻そう」と。一見もっともらしく聞こえますが、私はおすすめしません。
みなみ
みなみどうしてですか?
けんぞう先生
けんぞう先生ストレートネックの方は、首のカーブが失われている分、枕なしで頭を後ろに倒すと首の後ろ側に過剰な負荷がかかりやすいんです。カーブを無理に作ろうとするのではなく、今の首の状態に合った高さで隙間を適切に埋める方が、筋肉は安心して休めます。

ストレートネックと枕・寝姿勢の関係は、別の記事で詳しく解説しています。

横向き寝で「枕なし」はどうなるか

みなみ
みなみ先生、ここまでの話って仰向けが前提ですよね。横向きで寝る人が枕なしだとどうなりますか?
けんぞう先生
けんぞう先生横向き寝の場合、枕なしはかなり厳しいです。横向きになると肩幅の厚みがあるので、枕がないと頭が肩からストンと落ちて、首が大きく横に折れた状態になります。
みなみ
みなみ想像しただけで首が痛くなりそう……。
けんぞう先生
けんぞう先生はい。たとえ仰向けで枕なしが合う方でも、寝返りで横向きになった瞬間に首へ大きな負荷がかかります。基本は仰向けで眠りに入ることをおすすめしていますが、寝返りは身体に必要な動きなので完全には防げません。最低限の高さは確保しておく方が安全です。

枕なしで小顔になる?美容面への正直な答え

みなみ
みなみ先生、もうひとつ気になってたんですけど……「枕なしで寝ると小顔になる」「首のシワが減る」っていう話もあるじゃないですか。あれ、本当ですか?
けんぞう先生
けんぞう先生正直に言うと、「枕なしで小顔になる」「シワが減る」という話は、根拠として確認されていません。
みなみ
みなみやっぱり……。でも、枕の高さと美容って全然関係ないんですか?
けんぞう先生
けんぞう先生いえ、まったく無関係とは言いません。たとえば高すぎる枕であごを引いた姿勢が長時間続くと、首の前側にシワが寄りやすくなりますし、二重あごの方向にも働きやすい。これは美容整体師の立場からも言えることです。

ただし、だからといって「枕をやめれば解決する」わけではありません。正しい方向は「枕をなくす」のではなく「高すぎる枕をやめて、自分に合う高さに変える」ことです。

ちなみに、うつ伏せ寝で顔をマットレスに押しつけ続けると、ほうれい線やゴルゴラインが深くなりやすいというのは臨床でも感じるところです。美容面で寝姿勢を気にするなら、枕の有無よりも「仰向けで寝られる身体づくり」の方が先です。

自分が「合う側」か確かめる方法

みなみ
みなみじゃあ、自分が枕なしでもいける側なのか、確かめる方法ってありますか?
けんぞう先生
けんぞう先生あります。いきなり一晩枕なしで寝るのはおすすめしません。代わりに、バスタオルを使った実験がぴったりです。

確かめ方(4ステップ)

  1. バスタオル1枚を平らに折りたたんで、まずは2〜3cm程度の薄さから始める
  2. 仰向けに寝て、顎の角度と呼吸の楽さをチェック(顎が上がりすぎるなら低すぎのサイン)
  3. 楽に感じる高さまで、タオルを少しずつ足していく
  4. 「タオル1枚でも快適」が続くなら、あなたは低め〜枕なし寄りが合う体格。「足すほど楽になる」なら、枕はしっかり必要なタイプ

この実験は必ず自宅のマットレスの上で行ってください。マットレスの硬さで身体の沈み方が変わり、必要な高さも変わります。

けんぞう先生
けんぞう先生この実験のやり方と高さチェックのコツは、タオル枕の記事で詳しく解説しています。安全に「枕なし寄りかどうか」を見極められるので、いきなり枕を捨てる前に、ぜひこちらから。
みなみ
みなみいきなりゼロにしないで、タオルで刻んで確かめるんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生そうです。それともうひとつ。どの高さを試してもしっくりこない場合は、枕の問題ではなく、背中の丸みや肩の巻き込みといった身体側の状態が関わっているかもしれません。その場合は枕なしを試すより、身体の土台を見直す方が先です。

こんな時は、まず医療機関へ

枕なしで試してみる前に、以下に当てはまる場合は、まず医療機関で検査を受けてください。

首の骨や神経など、医療の領域で対処すべき原因が隠れていることがあります。枕の工夫よりも検査が先です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 枕なしのほうが楽に感じるのはなぜですか?

多くの場合、それまで使っていた枕が高すぎたサインです。高すぎる枕から枕なしに変えると首への圧迫が減って楽に感じますが、「ちょうどいい高さ」を飛び越えている可能性があります。タオルで低い高さから探り直すのがおすすめです。

Q2. 枕なしで寝るとどうなりますか?

合わない人の場合、首の隙間が支えられず筋肉が緊張したままになります。頭が心臓より低くなることで、頭に血がのぼる感覚や顔のむくみにつながることもあります。合う人もいますが少数派です。

Q3. ストレートネックには枕なしがいいと聞きました。本当ですか?

おすすめしません。ストレートネックの方が枕なしで頭を後ろに倒すと、首の後ろ側に過剰な負荷がかかりやすくなります。カーブを無理に作ろうとするより、今の首の状態に合った高さで隙間を埋める方が筋肉は休まります。

Q4. 枕なしで小顔になったり、首のシワが減ったりしますか?

「枕なしで小顔になる」「シワが減る」という話は、根拠として確認されていません。ただし高すぎる枕であごを引いた状態が続くと首のシワや二重あごの方向に働きやすいのは事実です。「枕をなくす」のではなく「高すぎる枕をやめて自分に合う高さに変える」のが正しい方向です。

Q5. 枕なしから枕に戻すには、どうすればいいですか?

いきなり高い枕に戻す必要はありません。バスタオルで薄い高さから始めて、少しずつ足していくのがいちばん安全です。タオル枕の記事で手順を詳しく解説しています。

まとめ――「枕なし」も選択肢のひとつ。でも順番がある

けんぞう先生
けんぞう先生まとめますね。
みなみ
みなみ「枕なし」って極端な健康法かと思ってましたけど、要は「自分に合う高さがたまたまゼロに近い人がいる」ってだけの話なんですね。
けんぞう先生
けんぞう先生いい要約です(笑)。枕なしも、高い枕も低い枕も、ぜんぶ選択肢。大事なのは流行りや誰かの成功談ではなく、自分の身体に合わせて選ぶ順番です。実験して自分の高さが分かったら、枕選びの記事も参考にしてみてください。

強い痛みやしびれがある場合は、まず医療機関での検査を優先してください。

検査で異常なしと言われたのに不調が続く方、そこからが当サイトの領域の出番です。あきらめる必要はありません。

その不調、寝具のせいだけじゃないかもしれません。身体の状態を整えた上で、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

執筆・監修:けんぞう先生(整体師/施術歴13年・延べ2万7千人以上)

※この記事の内容は一般的な情報提供であり、診断や治療の代わりにはなりません。